目の前のピンチとどう向き合うか。黙って見ている間に世の中は変わってしまう

目の前のピンチとどう向き合うか。黙って見ている間に世の中は変わってしまう

公開日:2020年11月18日

株式会社ファンケル代表

日本を代表する各業界の企業トップを講師に迎え、ここでしか聞けないビジネスの本質を学ぶ『企業論特別講義』。11月11日(水)に、第6回目を行いました。

この日の講師は、本学創始者でもある中内㓛の秘書を8年間務めた、株式会社ファンケル代表取締役社長 CEOの島田和幸氏。中内㓛から学んだこと、逆境との向き合い方についてお話しされました。

今、自分ができること、やるべきことを、やればいい

企業論特別講義

1979年、ダイエーに入社した島田氏は、5年間の店舗経験を経て名古屋へ。そこで課長となり、周囲からも認められる存在になるも、東京本社への異動を機に自分の仕事が認められないという現実に直面。「忙しいのも辛いが、仕事がないのは究極に辛い。会社は自分の都合で動いてくれないし、自分ではどうにもできないことがある」と痛感したと言います。そんな本社での2年間を経て、1993年に中内㓛の秘書に。その印象を「とてつもなく怖い人。例えるならライオン」と語る一方、「原理原則、基礎基本、をすごく大切にした人」だとも。当時の流通業界は、『商品を低価格で消費者に提供する』『日本を良くする』ことを目標にしており、「中内氏はまさにその時代を創った人」と。そして、島田氏が「ひとつの大きな転機」と話したのが、阪神淡路大震災。神戸の復興のため孤軍奮闘する中内の姿を通して、「今、自分ができること、やるべきことをやればいいんだ」と感じたそうです。

会社は永遠には続かない

流通の雄と言われたダイエーも、次第に時代の変化についていけなくなります。それを肌で感じてきた島田氏は言います。「会社は永遠には続かない。会社にも寿命があり、今もてはやされていても、10年後、20年後はどうなるかわからない。会社が生き残っていくためには、一定規模以上の事業と売り上げ、安定的な成長が必要。時代も、お客さまの求めるものも、社会環境も、変わっていく。それに応じて会社も変わっていかなければ、時代と付き合ってはいけない」と。

チャンスを掴むには、勉強し続けること

株式会社ファンケル代表

その後、島田氏は2003年にファンケルへ。小売業は大衆相手。メーカーは一人のお客さまとどう向き合うか。当初はその違いに戸惑ったそうです。そのなかで、2011年3月11日に2度目の大震災を経験。災害対策本部長として、社員の安否、原料の確保など、さまざまな問題に日々直面しながらも、会社を守るために尽力。この事態を乗り切ったとき、「自分のなかに『会社へのより一層深い愛着』が生まれた」と言います。
そして、2017年、ファンケルの社長に就任。その際、社員に『勉強する』ことを約束した島田氏。「自分が役不足なことはわかっていたから、とにかく勉強するから一緒にやっていこう」と。その背景にあったのは、「人生100年時代。ずっと勉強し続けるしかない。勉強していないと、転機を迎えたときチャンスに変えることができない」という思いでした。

自分にとって不都合な現実とどう向き合うか、が大事

2020年、ファンケルは創業40周年の記念すべき年になるはずでした。しかし、コロナ禍によるインバウンド消失で売り上げは180億円のマイナス。直営店は1ヶ月半の休業、各種イベントも中止。事業縮小を余儀なくされながらも、「こういった自分にとって不都合な現実とどう向き合うか。それが大事。世の中は変わる。様子を見ていては置いていかれる」と島田氏。そこで、休業となった直営店のお客さま向けアプリにEC機能を搭載するなどの施策を打ち出します。また、コールセンターの“密”を避けるため、1拠点から2拠点4フロアに分散。リモートワーク、会議・研修・採用面接のオンライン化、社内での情報共有のため社内報をWeb配信するなど、コロナ禍でさまざまな変革に取り組み続けています。

自由な発想で、
結果を恐れず、やってみる

「これから先、5年、10年後の未来は今とは違う。昔の常識が今通用しないように、今の常識が未来に通用するわけではない」と、強い言葉で語った島田氏。黙って見ている間に世の中は変わってしまう。これから先の未来を生きていくためには、「自由な発想で、結果を恐れず、やってみる。何事もスピード感を持ってやる」ことが大事だと話します。
そして、学生たちに「今、我々はピンチのなかにいますが、これをうまくチャンスにしてほしいと思います。将来、あのとんでもない2020年があったから今があるんだ、と。これから生きていくうえで不都合なことや居心地の悪いことが起こっても、それがあったから今があるんだ、そう思えるようになってほしいと思います」と言葉を贈り、講義を締めくくりました。

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