卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。

皆さんの卒業に際し、どのようなお話をしようかと思ったのですが、私から皆さんにお願いしたいことを3つ、お話ししたいと思います。

まず一つ目は、卒業後も学び続けてほしい、ということです。

私自身を振り返ってみると、学校で過ごした毎日よりも、その後の社会に出てからの時間の方がずっと長いと感じます。大学までに学んだことを通じて、どのようにして物事を学んだらいいのか、ということはだいたい身についたと思います。これまで学校で学んだことは、これからの皆さんの基礎になると思います。しかし、世の中はものすごい勢いで変わってきています。この半年間で皆さんも痛感したように、これまで予想しなかったようなことが起こると世の中がガラッと変わってしまうということが、これからの社会人生活のなかで、ほかにも出てくると思います。その時々に、新しいことを学んでいってほしいと思います。

ただ、学ぶといっても、これまでのように先生から教えられたことを吸収していくことも大事ですが、もっと大事なことは自分の頭で考えるということ。実際に社会に出てみると、目の前のいろいろな仕事だったり、困難だったり、課題に直面すると思います。それをどのように乗り越えればいいのか、考えるときに自分の頭のなかにいろいろな引き出しを持っていてほしいと思います。課題を乗り越えるためには、さまざまなアイデアを出していく必要がありますが、それは突然降って湧いてくるわけではありません。アイデアというのは、人間が長い間に培ってきたアイデアの組み合わせを変えていくことで生まれてくるものがほとんど、だと言われています。

自分のなかに、いろいろなアイデアの引き出しを持っていること。そのために学び続けること。それが皆さんには必要になるのではないかと思います。

２つ目は、「これだ」と思うことはやり抜いてほしい、ということ。

皆さんのこれからの人生のなかでは、ここが踏ん張りどころだ、と思う場面が何度かあると思いますが、そういったときには、自分が「これだ」と思うことをやり抜いてほしい。ただ、物事は自分の目指したようにはなかなか進まないと思います。自分一人ではできないことというのはいくつもあると思います。それでも、そういうときに途中で諦めてしまったり、「こんなものだ」と思って自分として納得できないような取り組み方で済ませてしまった場合、何も身につかないものです。一方、小さなことでもいいので、自分が納得いくまでとことんやり抜いた、という経験を一つひとつ積み重ねていくことによって、自分自身が成長していくことができると思います。

人生というものは、同質の時間が延々と続くというより、皆さん一人ひとりにとっての勝負時・頑張り時というものがきっとあると思います。そこで頑張っておかないと、後々やりたくなってももう遅いということもありますし、中途半端な取り組みとなってしまうと何も自分の身につかないということになってしまいます。だからこそ、自分が納得するまでとことんやり抜いていただきたいと思います。

こういうことを申し上げると気に障るかもしれませんが、皆さん自身も、昨年度の終わりにもう半年大学にいないといけないとなったとき、大学に行きたくない、という思いが頭をよぎった人もいるかもしれません。しかし、皆さんは自分のなかで誇りに思っていただいていいと思います。きちんと大学を卒業するという形で、一つの目標をやり遂げるということができたわけですから。これからの人生でもそういったことを続けていってほしいと思います。

３つ目は、最後まで自分を諦めないでほしい、ということ。

今まで、学び続けてほしい、やり抜いてほしい、と申し上げましたが、常にそういったことばかりを続けられるものでもありません。

少し話がそれますが、皆さんも何気なく聞いていた歌詞がなぜか心に引っかかったという経験はありませんか？ 少し恥ずかしいのですが、私にとっては少し前の朝ドラの主題歌に使われていたＡＫＢ４８の『365日の紙飛行機』という歌の「思い通りにならない日は、明日頑張ろう」という歌詞がその一つです。人生を経験するなかで、思い通りにならないこと、というのはたくさんあると思います。他の人が自分の思い通りにならないというのは当たり前のことですが、自分自身が思い通りにならないことは一番悔しいと思います。どれだけ頑張っても、思い通りにならないことはたくさんあります。そんなときでも、自分を諦めず、また明日頑張ろうという気持ちで、前を向いていただければと思います。

以上、学び続けること、やり抜くこと、自分を諦めないこと、の3つをお願いして、私からのお祝いのご挨拶といたします。

改めまして皆さん、本日はご卒業おめでとうございます。

2020年9月16日

流通科学大学　学長　藤井 啓吾

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